目付け

■はじめに

剣道では昔から、「一眼二足三胆四カ」といわれるように目の働きを最も大切にしている。 目付は、遠い山を望むような気持ちで、相手の全体(心と体) を見通せるよう、相手の目をみることが大切である。

剣道では,以下の2種類の目付けがあり,いずれも相手の全体を見通すことが大切とされている。
① 「観見の目」…相手を観察する目(心眼)
② 「見の目」…相手を肉眼で見る目の二種類

■観の目

「目は心の鏡」ということわざがあるように、目を見ればその人の心の状態がよくわかる。 心が乱れていれば目も濁っているし、心が清らかなら目も澄んでいるものである。 また、目で打突場所 (面、小手、胴、突) を見てから打つ人がいるが、 これでは次に打つ場所を事前に相手に教えていることになる。 したがって、相手の意志を察知するためには相手の目を見てその心の底まで洞察するよう心掛けなければならない。

■見の目

相手の目を見ると、相手の身体全体を見通すことができます。これは、人間の視野は耳眼水平線(耳のつけ根の上部と眼を結ぶ線) から約30度下が最もよく 見える構造をもっていることによる。 相手の攻撃をかわすために竹刀の先や手元を見たり、相手の動きを知るために足を鬼る人がいますが、目で竹刀の動きを追うことは不可能だし、一点を見ていた のでは相手の全体を見ることができない。

以上のことから、目付は、遠い山を望むような気持ちで、相手の全体(心と体)を見通せるよう、相手の目をみることが大切である。