アキレス腱断裂 [経験談付き]

剣道では下肢の瞬発的な動きが中心になるので,特に注意が必要。これはアキレス腱の一部か全部が断裂するわけで,「バチンッ」と断裂音を発することもあ り,その下肢で着床する事が困難になります。断裂が起きたら,足を伸ばした状態で固定し,医療機関に受診することをおすすめします。縫合手術に関しては必ずしも受ける必要があるわけではありません。縫合手術を受けるかどうかは、お医者さんと相談してください。

----

経験者は語る… (T_T) ということで。
私も 2008年2月に、審査受験中にアキレス腱を断裂しました。

当日の調子はすこぶる良く、相手を面に引き出して抜く胴、打ち抜け加速し、残心で振り返る際に、誰かが背中にぶつかったような強い衝撃を受け、その場に座り込んでしまいました。「あ、はやく立ち上がらなきゃ」と思うも、左足が床にきちっとついているはずなのに、斜めにつま先だけがついているような変な感覚。なんとか開始線に戻り、立ったまま竹刀を納め場外へ。

近くの病院に後輩の車で運んでもらい、簡易ギプスで固定をし、長野に帰り その足でかかりつけの整形外科で診察。アキレス腱断裂との診断。

そのまま手術をしないで固定で治すか、手術で治すかを確認されました。剣道を続けるならば、手術の方がおすすめとのことで、手術をお願いしました。
※手術でつなげるかつなげないかは、その人の体格、スポーツの強度、などよくお医者さんと相談して決めると良いと思います。手術しないで現在剣道に復帰されている方も多くいます。

手術は、断裂3日後に行われました。それまでは、固定をし、足を枕で高くするなどして大事にしていました。そういえば切ってから1週間以上経過するとつなげるのは厳しくなるとの話も医者から聞きました。下半身だけの部分麻酔で約1時間の手術。その後入院して5日間の抗生剤を点滴し、帰宅しました。

私の場合は、アキレス腱を切っての痛みは薄く、ふくらはぎ以下が重い圧迫感を感じる程度でした。術後の方が痛かったかも(^^ゞ
※痛みの強さは、個人差があるようです。

完全固定のギプスは、1ヶ月程度でとれました。その間、どんどん筋肉がやせてギプスが緩くなっていくのが驚きでした。その後、自分専用の簡易ギプスでかかとの高さを調整できる装具を装着し、4ヶ月程度お世話になりました。回復度合いに合わせて、このかかとの高さが低くなっていきました。平衡感覚が、まっすぐの状態から少し左側によってしまった期間がありましたが、これは回復していくうちに元に戻りました。筋肉をほぐすためのマッサージは、最初の段階は涙が出るほど痛かった。筋トレを地道にして半年ぐらいで、かかと上げができるようになり、日曜生活はまあまあできるようになりました。

剣道は八ヶ月目には徐々にOKと言われていましたが、無理せず素振りあたりからスタート。

剣道は、1年たって本格的に再開。徐々に剣道らしくなっていきました。ただ、稽古中に無理な動きをすれば、ドキっとします。これは1年半たった今でも、ちょっと遠慮してしまう部分があります。

冬は筋肉が固くなるので、稽古前はかなり念入りなストレッチと保温に努め、稽古後はアイシングを欠かさずやっています。また、ふくらはぎから足の裏までをほぐすように、お風呂などでマッサージをしています。

早い人は、4ヶ月程度で稽古を再開してしまったりしますが、再断裂したり、アキレス腱の弾力性が戻らなかったりの支障がでるようです。ですので、できれば断裂後は半年以上の本格的な稽古はしないほうが良さそうです。つまり、半年までは回復度合いに合わせたトレーニングを処方してもらい、無理なく回復していくのを心がける方が、後々問題は少ないのではないでしょうか。

ちなみに、アキレス腱を切った人は、再断裂や逆側の足の断裂の危険が高いと言われることがありますが、これは、もともとの筋肉の質が固くて切れてしまったのであれば、切った方と逆側の方も同じような可能性があるということなのでしょう。また、筋肉が疲労しているところに強い負荷がかかれば切れてしまいます。特に、回復段階中は、逆側の足に負担が大きくかかっていますので、疲労度も高いです。回復後もストレッチなどのメンテナンスを行い、同様の状況にならないように、心がけるとよいかと思います。また、2回同じ足のアキレス腱を切る場合は、アキレス腱自体が切れると言うよりは、アキレス腱がくっついている部分も剥離骨折のようになる場合があるようです。

以上が体験談です。

アキレス腱は切らないに越したことはありませんので、日頃からストレッチなど心がけることをおすすめします。

2009/11/24 体験談加筆